22年ぶりに屋根をふき替えた羽黒山五重塔=2024年10月3日、山形県鶴岡市

 羽黒山(山形県鶴岡市)の参道沿いに建つ国宝「羽黒山五重塔」で、22年ぶりとなる屋根のふき替え工事が先月に完了した。真新しい屋根をまとった壮麗な姿が木立の中に立ち現れている。

 五重塔は高さ29・4メートルで、平将門が創建したと伝わる。現在の塔は南北朝時代の再建。1966年に国宝に指定された。

 屋根は柿葺(こけらぶ)きで、薄く加工した木の板が何層にも重なった造りになっている。木の板は長さ30センチほど、幅10センチほどの大きさ。使用量は十数万枚にものぼる。雪や雨による経年劣化は避けられないため、約20年ごとにふき替えを行ってきた。

 今回は2002年以来のふき替えで、昨年5月に工事を始め、先月中旬に完了。下から1~4番目の屋根全体と、5番目の屋根の一部を奈良県産の杉でふき替えた。事業費は約1億2千万円。

 ただ、出羽三山神社によると、柿葺き用の板を加工できる職人はわずかになっており、技術の継承が課題だという。

 出羽三山神社の森林技監、伊藤信さんは「いまは新しい屋根に光が反射し、五重塔がきれいに見えます」。ひと冬を越すと屋根が黒ずんでくるため、期間限定の眺めだという。(清水康志)

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