大阪経済大学の秦正樹准教授=大阪市東淀川区大隅、池田伸壹撮影

 10日午後から党大会を開く国民民主党は、昨秋の衆院選以降、好調を維持しています。その原動力を、有権者の投票行動などを研究する大阪経済大学准教授の秦正樹さんはSNSに加えて、リアルな知り合いからの「口コミの強さ」にあると分析します。しかし、「次の衆院選では議席大幅減の可能性がある」とも。独自調査の結果も駆使し、国民民主の今と未来について語ってもらいました。

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 ――国民民主は昨秋の衆院選で議席を4倍に伸ばし、その後も高支持率の状況です。

国民民主への支持層にみる「3つの要素」

 「103万円の壁」など「ワンイシューの強さ」がありますが、それよりも「口コミの強さ」の影響が大きいと考えています。昨秋の衆院選に約4千人を対象に実施した世論調査では、国民民主がいいという話を「SNSの知り合いの書き込みで見た」や「知り合いから直接聞いた」という人が多く、そうしたネットワークが支持率を上げていると考えています。小政党に共通してよくある傾向ですが、支持者の熱量が高いのです。メインターゲットは20代や30代ですが、全世代に広がっている感じもあります。

 ――国民民主の支持層をどう分析しますか。

 三つの要素があると思っています。まずは、イシュー(争点)単位で国民民主をいいと思っている人たち。まさに「103万円の壁」についてです。立憲民主党や日本維新の会も近い政策を言っていますが、国民民主は特に強く打ち出しています。

 二つ目は党首の人気です。玉木雄一郎さん(代表を役職停止中)個人を好ましいと思っている人が多くいます。昨年11月に玉木さんの不倫問題が明るみに出たころの意識調査をみると、玉木さん個人に対する女性の好感度は下がった一方、男性の好感度は変わらなかったのです。男性の場合、玉木さん自身の不祥事を政治的な判断の材料とはしていない。いわゆる「推し活」のように思っている玉木ファンが一定数います。

 三つ目は「消極的な支持」です。2021年の衆院選で維新に投票した人たちは、昨秋の衆院選で維新には入れませんでした。裏金問題が起きた自民党にも入れない。けれどもリベラル色の立憲も嫌い。そういう人たちの受け皿として、国民民主がちょうどはまったのでしょう。

 ――国民民主をどのような政党と位置付けていますか。

 国民民主の源流は民主党です…

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