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AIの国際交渉を率いてきた総務省国際戦略局の飯田陽一・特別交渉官=東京都千代田区、奈良部健撮影

 AI(人工知能)は、その可能性への期待が大きい半面、人権侵害や戦争に悪用される恐れもはらむ。そこで、世界ではAIをめぐるルールづくりが進んでいる。国際交渉の最前線に立ってきた総務省の飯田陽一さん(61)に聞いた。国益がぶつかる交渉をまとめ上げる極意とは?

 昨年5月の主要7カ国首脳会議(G7広島サミット)で打ち出したAIの国際ルール交渉「広島AIプロセス」。その作業部会で議長を務め、交渉をとりまとめた。

 「必要最低限のルールによって安全なAI環境をつくっていくのと同時に、イノベーション(技術革新)を阻害してはいけない」。これがルールづくりの大原則だ。さらに開発企業だけを縛るのではなく、利用者も含めて「みんなが責任を持つことを忘れてはいけない」。この点にもこだわった。

 議論は一筋縄ではいかなかった。

 グーグルやメタなどの「プラットフォーマー」と呼ばれる巨大IT企業を抱える米国は、イノベーションを重んじ、できる限り緩やかなルールで対応しようとの立場。対して欧州連合(EU)は、利用者保護の観点から法律による厳しい規制を重視した。

 両者は激しく対立することがあった。日本時間午後9時に始まった作業部会の話し合いは、午前0時に終える予定が、翌朝5時まで延びることもあった。

■「米国でもEUでもない、日…

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