抗議文を読み上げる出品作家の飯山由貴さん(右)=3月11日、東京・上野の国立西洋美術館
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 東京・上野の国立西洋美術館(西美)内で、同館の企画展に出品する作家らが、イスラエルのパレスチナ自治区ガザへの攻撃を巡り、抗議行動をした。欧米の美術館では抗議や意見表明があるが、日本では珍しい。しかも西美は、国内の美術界で権威的とされる。作家らの抗議は、美術館とはどんな場であるべきなのか、問いかけている。(神宮桃子、編集委員・大西若人)

 企画展は、今月12日まで開かれた「ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか?」。西美が初めて現代美術を大々的に展示し、西美のあり方を問う展覧会だった。

 3月11日に開かれた報道内覧会で、美術家の飯山由貴さんが「私たちは展覧会出品作家有志を中心とする市民です」「パレスチナで現在起きているイスラエル政府のジェノサイドに強く反対します」といった文書を読み上げ、垂れ幕を掲げる有志もいた。

 西美がオフィシャルパートナー契約を結ぶ川崎重工業に対し「イスラエルの武器の輸入をとりやめること」を要求。西美にも、川崎重工に働きかけるよう求めた。

 防衛省は、情報収集や攻撃の機能を持つイスラエル製無人機の実証試験の業務を、川崎重工に委託している。

 「ガザへの攻撃を見て、何かできないかと考えていた。川崎重工と武器輸入との関係を市民団体の調査で知り、抗議をしない理由はないと思った」と飯山さんは話す。

 美術館内での抗議に対し、賛…

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