「男系男子」に限った皇位継承は女性差別にあたるとして、皇室典範の改正を勧告されたことに抗議の意思を示すため、日本の拠出金の使途から国連の女性差別撤廃委員会(CEDAW)を除外する――。日本政府がとった措置に対し、外交手段として疑問視する声や、女性の人権課題全体を軽視する姿勢だとの批判が広がっている。

 委員会は昨年10月、8年ぶりとなる日本への勧告の中で、男女平等のために王位継承法を改正した他国の事例を参照し、皇室典範を改正するよう求めた。政府は直後に抗議。さらに国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)への拠出金の使途から委員会を除外すると決め、国連側に伝えたことを29日明らかにした。

 「苦渋の決断だったと理解しているが、もっと控えめにも対応できた。大人げない」。元外交官で国連事務次長も務めた赤阪清隆氏はそう話す。

 国際社会の中で日本は「大人の対応をし、国際機関を大事にする国」と評価されてきたと指摘する。いまは米国のトランプ大統領が世界保健機関(WHO)からの脱退を表明するなど、国際機関に逆風が吹き、日本のリーダーシップへの期待が高まっていたという。

 「『日本よ、おまえもか』と思われ、ネガティブな変化と受け止められるかもしれない」と赤阪さん。このような対応は今回限りにすべきだ、と忠告する。

日本政府「差別には該当しない」

 皇室典範について、日本政府…

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