元外務事務次官の薮中三十二さん

 日本政府は1月、日本が負担する国連拠出金を国連の女性差別撤廃委員会(CEDAW)には使わせないよう求めたことを明らかにした。同委員会が「男系男子」の皇位継承を定めた皇室典範が女性差別にあたるとして、改正を勧告したことへの抗議だという。果たしてこうした行動は効果的なのか。元外務事務次官として日本外交を主導、日米経済問題や北朝鮮の核開発などの現場で外交を実践してきた薮中三十二さんに聞いた。

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 国連の女性差別撤廃委員会が皇室典範の改正を勧告したことに関して、日本政府が抗議の意味を込めてと思われますが、日本からの国連人権高等弁務官事務所への拠出金を同委員会には使わないよう求めたと報じられました。

 皇室典範にかかわる問題は他国や国際機関からとやかく言われる問題ではなく、日本が自らの意思で決めることは当然で、それは世界でも当たり前のこととして理解されるはずです。

 今回の件は国際機関の関係者にもきちんと説明すれば十分に理解されるはずであって、必要に応じて国際社会にも説明すればよい問題です。それを女性差別撤廃委員会の対応が正しくないとして拠出金を当該委員会には使わないよう求めた行動は「いかがなものか」と言わざるを得ません。

 もともと、日本政府は当該委…

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