花嫁を乗せて列車を運転する新郎=2024年午前11時20分、高知県四万十市具同、笠原雅俊撮影

 土佐くろしお鉄道中村・宿毛線の運転士、加洲(かしゅう)陽太さん(30)と久瑠美さん(29)夫妻が13日、同線の貸し切り列車「ブライダルトレイン」の車内で結婚式を挙げた。新郎自ら列車を運転し、花嫁や家族ら約30人を乗せて、永遠の愛を誓った。

 「ブライダルトレイン」は2016年に同線で始まった企画。今回は毎日列車を運転している陽太さんの「車窓に広がる四万十川の美しい景色をみんなに楽しんでもらいながら式を挙げたい」というたっての希望で、特別に新郎が運転士を務めた。

 澄んだ秋空の下、参列者は中村駅で2両編成の貸し切り列車に乗り込んだ。制服姿の陽太さんが運転席に座ると、約11キロ先の有岡駅へ向けて走り出した。

 有岡駅は久瑠美さんが勤務する高知県立幡多けんみん病院の近くにある駅。ホームでは、久瑠美さんの同僚たちが花束を手に待ち受け、「結婚おめでとう」と2人をライスシャワーで祝福した。

 中村駅へ戻る復路、陽太さんは四万十川の橋梁の上に列車を止めた。久瑠美さんに歩み寄って指輪を交換し、「新しい家庭を築き、年に一度は鉄道で四国旅行します」と誓いの言葉を述べた。

 陽太さんは愛媛県愛南町出身、久瑠美さんは愛知県清須市出身で3月に婚姻届を提出し、結婚式を心待ちにしていた。

 久瑠美さんの母、山崎美佳さんは「新郎はしっかりしていて頼りになる」と笑顔だった。

 陽太さんは「運転士の試験より緊張しました。何百回も通った景色ですけど、今日が一番きれいだった」、久瑠美さんは「今日の運転は百点満点だったと思う」と話し、互いに見つめ合った。(エリアリポーター・笠原雅俊 )

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