半年前に国道を寸断した土砂崩れで、奈良県南部の村の観光業や飲食業が苦境に陥っている。夏の観光シーズンが迫る中、「どうにか観光客の車も通してもらえないか」との切実な声が上がる。(上田真美)
昨年12月23日に下北山村上池原の国道169号で起きた土砂崩れでは、巻き込まれた2人が死傷した。この日以降、現場は通行止めが続いている。
今年4月末、道沿いに仮設の橋が完成し、救急車などの緊急車両や村民生活に必要な許可車両は通行できるようになった。だが、斜面の深いところから岩盤ごと崩れる「深層崩壊」の恐れがあるとして、観光客などの一般の車は今も国道168号や三重県を経由するといった広域迂回(うかい)が必要だ。
釣り客ロッジ 開業3カ月後に通行止め
「車の通り自体が明らかに少ない。車が通らないことには店にも人が入らない」
崩落現場から4キロほど南に下った169号沿いにある、カフェとアウトドアショップ、宿泊施設を併設する「アングラーズベース下北山」。店長の琴浦玄貴さん(28)は、道路に目をやりながらため息をついた。
同村の池原ダムや七色ダムは…