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大阪・関西万博の「RITE未来の森」にあるCO2を回収する実証研究装置=2025年5月14日午後1時28分、大阪市此花区、西崎啓太朗撮影
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夢洲から

 公式マップには書かれていない。大阪・関西万博の会場に、「レアパビリオン」「隠しメニュー」と言われる見学施設がある。

 東ゲートから歩ける距離ではあるが、関係者用の区域の奥の奥。地球環境産業技術研究機構(RITE)の実験施設がある「RITE未来の森」に一般の来場者が行くには、事前予約のツアーに入ることが必須だ。その枠ももうほぼ埋まり、増枠を検討しているという。

 見学できるのは地球温暖化対策のために、空気をとりこみ、その中から二酸化炭素(CO2)を回収する先進技術「DAC」の実証施設だ。

 ジェットエンジンのような三つの白い円筒で大気を吸い込み、中にあるフィルターでCO2を吸着させて集める。RITEの中神保秀さんは「未来社会のショーケースです」と話す。

 両手で集める空気の中にあるCO2は「お米1粒分」だけ。今は装置を1日7時間、稼働させているが、東京ドーム1杯分にあたる1トンのCO2を回収するには、10日ほどかかるという。

 途方もない挑戦に思えるが、実験を重ねてより多く集められるようにしたいという。そばにはDACが広く活用される「未来図」が描かれていた。

 会場の片隅で、未来を描いてこつこつ取り組む研究者の姿を見て、電気をつけっぱなしにしがちなことを反省した。できることから、こつこつと。

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 世界中の人々が集まり、連日多彩なイベントが開かれる大阪・関西万博。会場の夢洲(ゆめしま)で取材に駆け回る記者たちが、日々のできごとや感じた悲喜こもごもを伝えます。

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