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練習に励むみどりのSCCのメンバー=2024年7月18日午後4時9分、茨城県つくば市、中村幸基撮影
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 茨城県つくば市の住宅街にある、市立みどりの南中学校。自転車に乗った生徒たちが次々とやってくる。近隣の市立みどりの学園義務教育学校の生徒たちだ。

 両校合わせて14人が音楽室に集い、楽器のチューニングに取りかかった。吹奏楽コンクールをめざす生徒たちの見慣れた姿だが、学校の部活動ではない。部活動の地域移行に伴う地域クラブとしての活動だ。指導者も教員ではなく、外部の講師が務める。

 市南部に広がる「みどりの地区」の人口増加で、2018年にみどりの学園が開校した。さらに生徒が増えてこの春にできたのが、みどりの南中。両校の部活動は、平日も含め完全に地域移行している。民間企業「エンボス企画」(つくば市)を運営主体とした地域クラブ「みどりのSCC(スポーツ&カルチャークラブ)」だ。

 吹奏楽、バスケットボール、テニス、サッカー、野球、美術など全16種目がある。平日に3日、土日に1日の週4回の活動で、場所は両校(南中併設の南小を含む)の施設を使う。

 8日から始まる県吹奏楽コンクールにも、みどりの学園や南中としてではなく、「みどりのSCC」として出場する。指揮を執る小早川崇子さんは千葉県柏市を拠点にフルートやピアノの演奏や指導をしている。エンボス企画からのオファーで地域クラブの手ほどきを引き受け、土浦吹奏楽団の新関美保さんと日替わりで教える。

 練習で小早川さんは「二人三脚ではなく、十四人十五脚。みんながいろいろ考えていたら前に進まないよ。まず一歩をそろえて」と生徒らに語りかけた。

 部長でフルートを担当するみどりの学園の大久保栞那(かんな)さん(3年)は「雨の日は自転車での移動が大変だけど、練習時間は増えて、じっくり取り組めるのでうれしい」と言う。

 7月26日の県南地区大会。みどりのSCCは中学Aの部で優良賞を受け、地区代表に選ばれた。8月12日の県大会に初出場する。結成1年目で目標達成だ。

 テナーサックスを担当するみどりの南中の飯沼安(あん)さん(2年)には、もう一つの目標がある。実はメンバー14人のうち、飯沼さん以外はみどりの学園の生徒。「1人なので学校で吹奏楽の話ができないのはさびしい。来年は南中の新入生がたくさん入ってくれるよう、お手本になりたい」

 指導者や教育者の側はどのような思いを抱いているのだろうか?

 みどりの学園の山田聡校長は吹奏楽部の顧問歴が長い。吹奏楽コンクールでは1995年と96年に大子町立大子中学校を率いて、東関東大会へ出場した。いまは常陸大宮吹奏楽団でタクトを振るうバリバリ現役の指揮者だ。

 「みどりのSCCの活動は南中が会場でもあり、立場上見守るようにしている。お願いしたいのはただ一つ、コンクールなどにはできる限り出てほしいということ。舞台に立って経験を積んでこそ子どもたちは伸びる」

 生徒を預かる小早川さんも「子どもたちに音楽を通していろいろな挑戦をし、さまざまな体験をしてほしい」と応じる。「すぐに結果が出なくてもいい」と話す。「音楽の魅力を知り、大人になっても音楽とともに生き、音楽がつながっていくように」。そう願っている。(中村幸基)

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