ハッブル宇宙望遠鏡が捉えた恒星間天体「3I/ATLAS(アトラス彗星)」の画像。地球から約4.4億キロの距離にある。7月21日に撮影した©NASA, ESA, David Jewitt (UCLA)

 ほかの星から飛来してきた「恒星間(こうせいかん)天体」の姿を、米航空宇宙局(NASA)のハッブル宇宙望遠鏡が捉えた。時速21万キロという猛スピードで飛行し、彗星(すいせい)のような尾も確認できている。

 この天体が見つかったのは、今年7月1日。いて座の方向から飛来する光の点を、地上の望遠鏡が発見した。太陽系外からやってきた恒星間天体と判明し、「3I/ATLAS」(アトラス彗星)と名付けられた。観測史上3例目となる。

 ハッブルが7月21日に観測した画像には、彗星としての姿が写っていた。太陽に温められたせいでガスやちりを放出し、全体がぼんやりと淡い光に包まれている。水のしずくの形をした彗星特有の尾のようなものも見られた。

史上最速、時速21万キロ

 この姿は、太陽系内の彗星が見せる様子と一緒だが、決定的に違うのが、そのスピードだ。

恒星間天体「3I/ATLAS」の軌道(白)。右上から左下へ過ぎ去る軌道をとり、10月末に太陽に最接近する予定©NASA/JPL-Caltech

 アトラス彗星は、核の直径は最大5.6キロ、最小で300メートルと推定される。現在は地球から約4億キロの距離にあり、火星と木星の軌道の中間付近を飛行している。その速度は、時速約21万キロ。

 宇宙船だと3日かかる地球から月までの距離を、2時間弱で行ける速さで、太陽系外からやってきた天体の中で最高速度を記録した。

銀河を数十億年も漂流

 これは、アトラス彗星が数十…

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