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 年金制度改革関連法案をめぐり、厚生労働省は、焦点だった基礎年金(国民年金)の底上げ策について、骨格部分を法案から外す検討に入った。一部残すものの、今国会での法案化は事実上見送る。夏の参院選を控え、政権の「鬼門」とされる年金問題に自民党内から慎重論が出ており、大幅な修正を余儀なくされた。

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年金改革を議論している厚生労働省の社会保障審議会年金部会=東京都千代田区

 公的年金は、少子高齢化の中でも年金財政を維持できるよう、基礎年金と厚生年金、それぞれの年金額を減らして調整している。厚生年金の減額調整は2026年度には終わるが、財政状況が厳しい基礎年金は57年度まで継続する。

 基礎年金の底上げ策は、①厚生年金の減額調整を26年度以降も継続させた上で②厚生年金の積立金を活用し、それぞれの年金の減額調整を36年度で同時に終了させる――2本柱で構成される。

 このうち②の方策については「厚生年金積立金の流用だ」などとする自民党内の反発があった。厚労省は今年1月、29年以降に実施の判断を先送りする方針に転じた。その際、底上げ策を実施する場合の仕組みなどを法案に明記すると説明。「改革の先送りではない」としていた。

「あんこのないあんパン」

 だが、今回は②の方策自体を…

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