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錦田愛子さん

 「イスラエル軍のガザ地区での作戦は、人質救出に大きく貢献しているとは言えない」

 5月29日配信の記事「イスラエル兵士に広がる戦争疲れ 『見えない敵』『救えなかった命』」に、中東政治が専門で慶応大学教授の錦田愛子さんは、こうコメントした。

 記事では、パレスチナ自治区ガザで大規模な攻撃を続けるイスラエル軍が予備役の兵士の追加招集を繰り返しているが、今春以降は招集に応じない人が増えている現状を伝えた。招集を拒否すれば罰則もあるが、理由をつけて回避しているという。

 さらに、従軍経験のある男性2人の声も紹介した。地下トンネルから現れては消える「見えない敵」への恐怖から、帰任後も動悸(どうき)や不安に襲われており、任務が人質救出につながると実感できずに「精神的な疲れと失望だけが積み重なった」などとしている。

 錦田さんは、ガザ地区は武装勢力が長年戦略を練ってきた拠点であり、そこで交戦するイスラエル軍は「基本的に不利な立場にある」と指摘。招集に応じない予備役が増えているという「変化」の背景には、パレスチナへの暴力を避けようとする従来の良心的兵役拒否だけではなく、無意味な軍事作戦に身を投じて自らの命を危険にさらしたくないという拒否感があるとの見方を示した。

 そしてネタニヤフ首相について「前線の兵士の声を無視し、政権の維持と連立工作のためだけに戦闘を継続しているように見える」と評した上で、次のようにコメントを結んだ。

 「イスラエルを『内部から破壊』しようとしているのはネタニヤフ自身なのではないか」

 この記事や、錦田さんのコメント全文はこちらから(https://t.asahi.com/wp0w)。同じ記事には、よろず物書き業のマライ・メントラインさんらもコメントしています。あわせてご覧ください。

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