弔いに対する意識の変化や、子どものいない人の増加などを背景に、継ぐ人がいなかったりその所在が不明だったりする「無縁墓」が増えているとされる。公営墓地がある自治体のうち、無縁化や墓の荒廃を防ぐため、亡くなった人の子どもなど墓地の「使用者」以外に、親族など「縁故者」の情報を把握している自治体は1割にとどまることが、厚生労働省の研究班の調査でわかった。厚労省は、無縁墓が増えるのを抑えるためには縁故者の連絡先を把握するなどの取り組みが有効であるとして、自治体の対応を促す考えだ。
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調査は、厚労省の補助事業で、全日本墓園協会(東京都)専務理事で主管研究員の横田睦さんらが2024年秋に実施。今年7月末に結果が公表された。
アンケートに答えた772自治体のうち、公営墓地が「ある」と答えたのは457。そのうち、墓地の管理料を支払うなどしている直接の使用者のほかに、親族など縁故者について氏名や連絡先などの情報をあらかじめ把握しているのは56自治体(約12%)だった。
公営墓地は通常、たとえば親が亡くなった場合に子どもが「使用」を申請。許可を得てその区画を使える。代が替われば、新たな使用者が申請して「承継」することになる。
縁故者の情報を把握している56自治体に、そのきっかけを尋ねたところ、管理料などの滞納を受けて「使用者に督促しようとしても連絡不能だった」が24で最多。そこで、ほかの親族などの連絡先を把握する必要性を感じたとみられる。把握の方法としては、「使用許可の申請書に情報を記載させている」が20、申請時に「情報を記載した書面を添付させている」が15などだった(複数回答)。
無縁となった墓がそのまま放置されれば、墓石が倒れたり草木が隣の区画に侵入したりなど荒廃につながる。ただ、墓石や遺骨がかかわるだけに、勝手に手を出すことはできず、縁故者がいないか調べたり、関係者がいれば申し出るように公告したりするなど、無縁墓から遺骨を別の場所に移す「改葬」には慎重な手続きが求められる。
無縁墓の改葬・整理の実績「ある」は10%
457自治体のうち、無縁と…