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 賃貸住宅は「夏暑くて、冬は寒い」イメージで、持ち家の戸建てや分譲マンションなどと比べて、住宅性能に劣るとされてきた。一方、2025年4月に改正建築物省エネ法が全面施行され、すべての建物に一定基準以上の省エネや断熱の性能が求められるようになった。住宅性能の表示制度もできた。高性能な賃貸住宅が広がる契機になるか。

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高性能賃貸住宅「ウェルネストルーム新浦安」=千葉県浦安市

 千葉県浦安市の賃貸住宅「ウェルネストルーム新浦安」。2階建て、メゾネットタイプの100平方メートル超のファミリー物件が2戸入る。

 窓は樹脂サッシに、3枚のガラスが空気の層を作るトリプルガラス。壁は内外に断熱材が入っており、25センチの厚みがある。

 エアコンは1階と2階に6畳用が1台ずつ。「各部屋のドアを開けていれば温度は一定に保てます」と工務店「アールデザイン」の1級建築士、城戸健一朗さん。太陽光発電パネルも備え、「住宅用エネルギー管理システム」(HEMS〈ヘムス〉)で、エアコンや換気扇、ヒートポンプ給湯器の運転を自動で制御する。

 省エネ性能を表す一次エネルギー消費量等級は「6」、断熱等性能等級は「7」と評価しており、現行基準で最高レベルだ。家賃は周辺相場より3割ほど高いが、年間の光熱費は12.4万~13.2万円と同規模の一般の賃貸住宅の3分の1ほどだと試算する。

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高性能賃貸住宅「ソーラーレジデンス北栄」の室内=千葉県浦安市

 「断熱・省エネ性能だけでなく、室温がどこも一定だという快適性もあり、トータルで考えると納得していただけるだろう」と物件を管理する不動産会社「明和地所」の南沢悦郎さんは話す。同社が手がけた別の2棟の高性能賃貸物件は、太陽光発電に加え蓄電池も備え、光熱費も定額で家賃に含まれる。2年前に最初の1棟が完成後、満室が続いている。

 「今年の賃貸住宅市場は『住宅性能元年』になる可能性がある」

 ライフルホームズ総合研究所の中山登志朗副所長は、こう期待する。4月に「改正建築物省エネ法」が施行。賃貸も含めたすべての新築建築物に、エネルギー消費等級4以上、断熱等級4以上が義務づけられた。

 欧米に比べ決して高い水準で…

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