北海道恵庭市の牧場で虐待されたとして、長年住み込みで働いていた知的障害のある男性3人が、経営者家族と恵庭市を提訴してから1年が経った。だが、公判では実態解明が進んでいるとは言いがたい。社会から隔絶された牧場内で、何が起きていたのか――。原告の一人が朝日新聞の取材に応じた。
男性は60代。それまで働いていた別の牧場が閉鎖となり、2001年12月末、恵庭市内の「遠藤牧場」へ移った。
他の原告男性2人とともに、敷地内のプレハブ小屋で寝泊まりすることになった。午前5時ごろ起床し、50頭ほどの牛にエサをやる。3人で10分かかる飼料運びを、4回繰り返す。
午前7時ごろに母屋へ行き、経営者の妻がつくった朝食をとる。「お湯と卵と茶わん1杯のご飯。毎日それだけだった」
畑仕事を手伝わされることもあった。その横で昼寝をしていた経営者の息子に、仕事ぶりが気に入らないと髪を引っ張られることもあったと訴える。
昼食と夕食はプラスチック容…