戦後の混乱期に生まれ、教育を十分受けられなかった人々を受け入れてきた夜間中学校。その歴史をたどる史料集全22巻(不二出版)を、研究者や元教員らが15年がかりで編み、配本が始まった。「学ぶ権利を支えてきた学校の苦闘を知ってほしい」とメンバーは話す。
記録なくなり、紙がぼろぼろ
出発点は2009年。神戸大教授だった浅野慎一・摂南大教授(社会学)が、夜間中学校の全国組織から研究大会の講演を依頼された。各地の夜間中学校を調査すると、多くの記録などがなくなったり、紙が劣化しぼろぼろになったりしていた。
そこで取り組んだのが、史料を集め、ガリ版の字が消えかかった紙を電子化し保存することだ。出版計画が持ち上がってからは、オンラインで毎週のように会議を開き、約2万点もの史料を1点ずつ載せるかどうか議論。生徒のプライバシーをどう守るかを検討して出版にこぎつけた。
史料集の主な内容は、初の夜…