掛け軸の扱い方を聞く博物館実習の大学生ら=2025年8月1日、桑名市博物館、鈴木裕撮影

 博物館の資料収集や保管、展示、調査研究を担う学芸員。その資格取得をめざす大学生らが、桑名市博物館(杉本竜館長)で博物館実習をした。

 今月1日午後の同博物館。展示替えに備えて文化財が片付けられた展示室で、大学生6人らが同館歴史専門官の大塚由良美さんから文化財の扱い方を学んだ。この日、扱ったのは掛け軸の絵画や書。実際に同館所蔵品の掛け軸を使い、巻き方やひものかけ方を体験した。

 大塚さんは「文化財の掛け軸を、展示会のために所有者に借りに行くケースもある。床の間に掛けられている掛け軸を巻き取るのに手間取っていたら、『この学芸員に貸しても大丈夫なの』と思われてしまうかも」と話しながら、最初はぎこちない手つきで巻いていた学生たちを指導していた。

 同館の実習は7月29日~8月2日の5日間で開かれ、地元の出身や東海地方の大学の3~4年生6人と、地元の中学教員の社会体験研修2人が参加。午前中、博物館の地域連携、資料保存の方法、博物館展示の方法、調査研究などを座学で学び、午後は文化財の古文書や刀剣、工芸品などの扱い方、埋蔵文化財の整理、民俗学調査などを実際に経験するプログラムだった。

 同館は、学芸員資格の取得をめざす大学生らの博物館実習を、毎年、受け入れている。同館学芸員の鈴木亜季さんは「展示だけではない博物館の仕事があることを知ってもらえたら」と話した。

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