二場所連続優勝を決め、横綱昇進を確実にした大の里(24)=本名・中村泰輝(だいき)=には、支え続けてくれた家族が故郷の石川県にいる。親元を離れて自立し、力をつけようと中学から県外に出たが、心はいつも、能登とともにある。

 「勝ち急がず、落ち着いている。本当に自分の息子なんかな」

 今場所、勝ちっ放しの長男をみて父知幸さん(49)は言った。

 高校まで相撲に打ち込んだ父の影響で、小学1年から相撲を始めた大の里。能登半島の入り口に位置する出身地の津幡町は相撲が盛んだ。大の里は「野球をやりたい」と言ったが、「足腰を鍛えるためにやってみろ」と、自らが打ち込んだ相撲を勧めた。

 頭角を現すのは早かった。小学5年途中までは「県内では無敵」。牛丼3杯をぺろりとたいらげ、身長は170センチを超えた。

 しかし、ライバルたちも力をつけ、それまでほどには勝てなくなった。

 寮生活の厳しいなかで、技を磨きたい。

 あこがれていた先輩が進学したこともあり、新潟の強豪中学を選んだ。「実は彼はストイックとか、根性ものが好き。ドラマのスクール・ウォーズなんか大好きで」と知幸さん。よく見ていたビデオが進路にも影響した。

 「逃げてくんなよ」「逃げるわけないよ」。新潟出発の別れの時、親子で声をかけ合った。

「史上最速」達成 さらにスピード求めた父

 強豪校でもまれた。中学2年の夏の全国大会。団体でチームは2位となったが、補欠だった大の里は「俺はうれしくない」と言った。この時を転機に、めきめきと力をつけ、日体大1年では学生横綱となった。

 「常々言ってきたのは『その…

共有
Exit mobile version