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東洋エンジニアリングで行われた役員たちの介護座談会の風景=2024年7月9日午後1時56分、千葉市、同社撮影

 働きながら親の介護なども担う「ビジネスケアラー」を支え、介護離職を防ごうと、トップが旗振り役となって対策に乗り出す企業が出てきている。

  • 「制度利用せず介護離職」が半数超 5千社アンケートで見えた壁は?

 東洋エンジニアリング(本社・千葉市)で昨年7月、経営陣が自らの介護経験を語る座談会の動画が社員に公開された。

 「近くで一人暮らしをしていた母が、お風呂などが次第に大変になり、実家に様子を見に行かねばならなくなった」と語り始めたのは永松治夫会長(68)だ。その後、知り合いから紹介された施設で母をみとった。「自分でやろうとしたら絶対にダメ。プロに任せた方が安心」と語った。

 別の役員は、親の介護をめぐって兄弟の関係が悪化した経験を語った。

 従業員50人規模の関連会社の社長は「これまで介護休業をとった社員は1人もいない」と、制度が利用されていない実態を明かした。「隠れ介護」をしている社員がいると見ており、「もっと話しやすい雰囲気にしないといけない」と自戒した。

 座談会を企画したのは、同社プロジェクト管理本部の宮平美佐子さん(58)。自身も10年間、ビジネスケアラーだった。認知症になった両親(いずれも故人)が老老介護していたが、限界がきて、娘の宮平さんに頻繁に電話がかかってくるようになったという。

記事後半では、介護離職を防ぐためのソフトバンクや中小企業の取り組みを紹介します

 当時、インフラ関連の部署で…

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