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紫式部(まひろ)役の吉高由里子(左)と、藤原道長役の柄本佑=2023年5月28日、京都市左京区、照井琢見撮影
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 NHK大河ドラマ「光る君へ」が後半に入り、いよいよ「源氏物語」の執筆の場面が展開されそうだ。Eテレ「趣味どきっ!」で今年放送された「源氏物語の女君たち」(8月13日からアンコール放送予定)の講師を務めた、清泉女子大学文学部教授の藤井由紀子さんに、研究者の目線から見どころなどを聞いた。

  • 【後編はこちら】研究者が「考えないようにしている」こと、「光る君へ」はどう描くか

 ――「光る君へ」をどう見ていますか?

 すごく楽しんで見ています。でも正直、ドラマが始まる前は嫌な予感しかなかったんです。主人公の紫式部は分からないところが多いですし、平安貴族たちの話をどう処理するんだろうって。戦国時代や幕末の大河ドラマに比べて、平安時代は面白くない、源氏物語は面白くないってなると嫌だな、と。

 でも、杞憂(きゆう)でした。脚本を担当する大石静さんの想像力はすごいなと思いました。

 ――研究者の立場から見ても、すごいと。

 第1話の最後で、まひろ(紫式部)のお母さんが藤原道兼に殺されるシーンは、見ていて変な声が出ました。「ええええー」って。

 ほぼありえない話なんですけど、紫式部は若い時期に母親を亡くしていると言われているので、こういう事件が100%なかったかというと、全否定はできない。そこを、こんなにもうまくすくってドラマにするんだというのが、すごく面白いです。

まひろと道長が会っていた廃院のモデルは?

 ――第1話から源氏物語を連想させるシーンがありました。

 源氏物語につながるエピソードもたくさん、ちりばめられているので、源氏物語を知って「光る君へ」を見ていると、「逆再生」という感じがするんです。

 第1話にあった鳥が逃げるシ…

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