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東京財団政策研究部マネージャーの吉原祥子さん=東京都港区、山田史比古撮影

 登記簿を見ただけでは現在の所有者にたどりつけない「所有者不明土地」問題を受け、2024年春から相続時の登記の申請が義務化されるなど、土地所有のあり方などに関する制度改正が続いています。東京財団政策研究部マネージャーで、所有者不明土地の問題に取り組んできた吉原祥子さんは、近年の制度改正を前向きに評価したうえで、「より深い問題が見えてきた」と言います。私たち一人ひとりの相続にもかかわる、その問題とは。

 ――相続登記の義務化だけでなく、2023年4月には相続した不要な土地を国庫に帰属させる制度が始まり、民法でも明治時代以来とされる物権法の大改正が実現しました。

 よくここまで、短期間で多くの制度改正を実現できたと思います。それぞれ、所有者不明土地問題への対処としては、意味があることです。ただ、一方で、こうした制度改正があったことで、より深い問題がいくつも見えてきたのではないかと考えています。

 ――どんな問題でしょうか。

 まず、所有者不明土地の問題は、人口減少時代の相続の問題、その一つの現象だと思います。経済が右肩上がりで、人口も増える。土地は資産だ。そんな前提の土地所有のあり方、相続のあり方でやってきた。しかし、前提条件が様変わりしたいま、「大相続時代」を迎え、それぞれの問題が見えてきました。

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