一回裏ドジャース無死、大谷は内野安打で出塁しポーズをとる=金居達朗撮影

 投打二刀流復活のシーズン。大リーグ・ドジャースの大谷翔平が、またも未知の領域に足を踏み入れた。

 この日は投手として先発。見せ場は、いきなりやってきた。一回1死から本塁打王を争うシュワバーと、マウンド上から対峙(たいじ)した。その初球。大リーグで自己最速タイとなる101.7マイル(約163.7キロ)の速球で押し込んだ。気迫のこもった投球でライバルに隙を与えず、最後はスライダーで見逃し三振に。これが今季50個目の奪三振となった。

  • 2年連続50本塁打の大谷翔平 データから読み解ける進化と探究心

 大谷はこの日、時速100マイル超の球を計7球投げ込み、相手打線を寄せつけなかった。5回を無安打無失点。4点のリードを保ち、余力を残して68球で降板した。

 そして、歴史誕生の瞬間は八回だった。先頭で打席に。内角のカットボールをすくい上げ、右翼越えの特大50号。ルースらに並ぶ大リーグ史上6人目の「2年連続50本塁打」を記録するとともに、史上初めて「同一シーズン50本塁打、50奪三振」の偉業も達成することになった。

 昨年の「50本塁打―50盗塁」に続く、前人未到の「50―50」だ。大谷は右人さし指で打球の方向を示すように、悠々とダイヤモンドを回った。その姿に、本拠の大歓声が降り注いだ。

 ただ、チームは救援陣が踏ん張れず、六回に6点、九回にも3点を失っての敗戦。試合終了の4分後に報道陣の前に現れた大谷は、淡々と言葉をつむいだ。

 「(今年は)すごく調子の良い時期があまりない。調子が悪いなりの打席が送れていた」

 首位シュワバーに3本差に迫った3年連続となるリーグ最多本塁打のタイトルにも、興味を示さなかった。「ホームランもそうだが、四球をしっかり取るのも仕事」「チームの順位はあるけど、まずは自分にコントロールできることを第一に、一日一日を頑張りたい」

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