敗戦後にスタンドへあいさつに向かう大阪桐蔭。涙を見せる選手もいた

 (26日、高校野球秋季近畿地区大会1回戦 滋賀学園3―2大阪桐蔭)

 「選手は一生懸命やってくれました。もちろん勝たないといけないんですけど……力足らずです」

 大阪桐蔭の西谷浩一監督は試合後、そう振り返った。

 秋の近畿大会は3連覇中だった「王者」が、今夏の甲子園8強入りで話題となった滋賀学園に初戦で敗れた。これで、6大会連続の選抜出場(2020年の中止を含む)は厳しい見通しとなった。

 攻守で精彩を欠くなど、らしさが出なかった。

 1点リードの六回だ。最速150キロ超の先発右腕、森陽樹(はるき)(2年)は先頭打者から空振り三振を奪うが、振り逃げ(捕逸)で走者を出した。犠打、見逃し三振で2死二塁とし、前の打席で適時打を放っている5番・吉森爽心(そうしん)(1年)を迎えると、西谷監督は申告敬遠を指示した。

 塁が埋まってから、森の制球が定まらない。2者連続四球の押し出しで同点を許すと、滋賀学園の藤本聖人(きよと)(2年)に勝ち越しの適時打を浴びた。森は「ピンチで粘りきれなかった」。

 打線もかみ合わない。

 1点を追う四回に適時打とスクイズ(記録は内野安打)で2点を奪って逆転したが、その後は沈黙。六回まで4盗塁を成功していた機動力も、1点を追う七回は2死一塁で代走・中西佳虎(けいと)(1年)が盗塁失敗。追い上げムードがしぼんだ。

 敗戦後、涙をぬぐいながらスタンドへあいさつに向かう選手もいた。

 西谷監督は「競り勝たないといけないところで競り勝てなかったし、思い通りの攻撃もできなかったし、ディフェンスの方もまだまだ」と厳しい表情を見せ、「夏の一本に絞りたい」と語った。

 下級生から主力の捕手、増田湧太(2年)は「自分のミスが響いて、情けないの一言に尽きる。周りは何やってるんだって思っていると思う」とうつむいた。

 「まだ整理はついていないけど、何かを変えないと、このまま同じように終わってしまう」と危機感を口にした。(室田賢)

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