環境の悪化によって姿を消したとされていた大阪湾のバイ貝が、約30年ぶりに確認された。大阪府立環境農林水産総合研究所が、生殖機能があるかどうかなどを調査していくという。

 同研究所水産研究部(大阪府岬町)によると、約30年ぶりの発見となるバイ貝は、4月11日に大阪湾南部で底引き網漁業者によって漁獲された。大きさは9・3センチでどこで生まれたかは不明。同研究部の担当者は「水質が良くなったことで再び大阪湾で生息できるようになった可能性がある」とみている。

 バイ貝は北海道から九州にかけて広く分布し、煮付けなどにして食べられている。かつては大阪湾でも、バイ貝を専門に狙う漁があるほどの漁獲量があった。

 しかし、同研究部によると1980年代から減少し、90年代に姿を消したという。人為的な化学物質が生物に取り込まれてホルモンに似た働きをする「環境ホルモン」が生殖機能に影響し、産卵できなくなったことが原因とされる。

 原因物質は、船底などの防汚塗料に含まれていた有機スズ化合物で、現在は、有機スズ化合物を防汚塗料として使うことは禁止されている。

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