天台宗務庁=2025年4月11日、大津市、清水謙司撮影

 四国にある天台宗の寺の住職から約14年にわたって性暴力や恫喝(どうかつ)を受けたとして、尼僧の叡敦(えいちょう)さんが住職ら2人の僧籍剝奪(はくだつ)を求めた問題で、天台宗務庁は16日、宗の裁判所にあたる審理局が下した住職を罷免(ひめん)、加害の手助けをしたとされる大僧正(大阿闍梨〈あじゃり〉)は懲戒に該当しない、とする審判結果が確定した、と発表した。

 処分は3月24日付で、期間内に不服申し立てがなかったという。宗務庁によると、申し立てができるのは審理を求めた宗務総長と、被告にあたる被申立人に限られる。叡敦さん側は「処分が軽すぎる」などとして、宗務総長に再審請求するよう求めていた。

 天台宗務庁は「決定の不当性を肯定する証拠が乏しく、再審請求は困難」などと説明した。叡敦さんの代理人弁護士は「今回の宗務総長の判断は大変残念。今後のことは、叡敦さんと相談して決めたい」とコメントした。

 住職の代理人弁護士は「天台宗の審判は、性加害については相反する主張があり、確認できないとしている。一方で、住職が女性と長年同居していたことは事実で、罷免の処分は受け入れる」と話した。大僧正側は「コメントは控えさせていただきたい」とした。

 叡敦さんは2024年1月、天台宗務庁に僧侶と大僧正の僧籍剝奪を求める申し立てをした。宗務庁は同年11月、審理局の審理にかけると発表。審理局で非公開の審理が3回行われ、今年3月24日付で審判結果が出た。

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