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2歳のとき長崎で被爆した金光子さん=2025年7月8日午前10時56分、韓国・釜山、榧場勇太撮影
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 被爆80年の節目を迎える9日の「長崎原爆の日」、海外在住の被爆者3人が招かれ、長崎市の平和祈念式典に参列する。そのひとり、韓国・釜山市の詩人、金光子さん(82)は長年、明かせずにいた原爆への思いを作品にして今年、日本で詩集を出版した。

 釜山市郊外のマンションの本棚には、文学書や辞書などとともに、受賞した文学賞の記念品などが並ぶ。これまで1千作以上の詩を韓国語で発表してきた。

 1943年、長崎市で朝鮮半島出身の両親のもとに生まれ、日本名で金田光子と名付けられた。父は機関士として、日本軍の食料をフィリピンに運ぶ船に乗っていた。

 被爆の記憶はない。詩の一節にはこうある。

 〈両親に食事時、匙(さじ)のすり減るほど 長崎の惨状を散々と聞かされた痛恨の時間〉

 両親から繰り返し伝え聞いた話によると、爆心地から約2キロの長崎市稲佐町の自宅で両親と一緒に被爆した。2階建ての木造家屋が倒壊し、両親は下敷きになって気絶。金さんも尻にやけどを負った。

父は言った「結婚できなくなるから言うな」

 戦後、朝鮮半島出身者と一緒…

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