釜で沸かしたお湯をササの束で振りまく御湯立の神事=2024年12月15日午後2時34分、奈良市餅飯殿町、周毅愷撮影

 平安時代から途切れることなく続き、今回で889回目を迎えた「春日若宮おん祭(まつり)」が、15日から始まった。初日は、祭りに参加する人たちが心身を清める「大宿所(おおしゅくしょ)」(奈良市)で、行事の無事を祈る「御湯立(みゆたて)」の神事が営まれた。

 御湯立直前には、華やかな行列が奈良市内の中心街を練り歩き、大宿所にたどり着いた。午後2時半ごろ、湯立巫女(みこ)を代々受け継いでいる大和郡山市の加奥満紀子さん(66)が、大釜の湯に米や日本酒などを入れて各地の神々を呼び集めた。その後、ササの葉を湯に浸し、「サヨーサ、サヨーサ」と唱えて、お湯を周りに降り注いだ。「サヨーサ」は左右左を意味し、祭りに関わる人たちの心身を清めた。加奥さんは「来てくださった方々が、健康で来年も楽しく過ごせるように」と語った。

 大宿所境内では、小屋にキジやサケなどがつり下げられた「懸鳥(かけどり)」と呼ばれる神様へのお供えもあり、多くの人が見入っていた。

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