フランスを視察した慈恵病院の蓮田健院長(中央)と蓮田真琴新生児相談室長(右)=2023年10月14日、パリ、大貫聡子撮影
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 誰にも相談できずに孤立出産し、子を遺棄したとして、女性が罪に問われる事件が絶えない。女性と子どもの命を守るため、熊本市の慈恵病院は2019年から「内密出産」(周囲に妊娠を知られたくない女性が、病院で特定の担当者にのみ身元を明かして出産する仕組み)に独自に取り組む。匿名のまま出産できる制度や、子どもの出自を知る権利を保障する法律があるフランスを23年10月に視察した蓮田健院長と蓮田真琴新生児相談室長に、日本との違いをどう見たのか聞いた。

「母子の症状、日本になかった概念」 蓮田健院長

 匿名出産で生まれた子の出自を知る権利と、女性が求める匿名性の両方を大事にしよう。もっとも印象的だったのは、フランスの制度や支援に関わる人たちのそんな姿勢でした。

 現在、「こうのとりのゆりかご」(親が育てられない子を匿名で預かる仕組み。病院が07年に設置)に託された子や、内密出産で生まれた子の出自を知る権利について、熊本市と共同設置した委員会で検討が続いています。

 私も委員の1人として参加していますが、当事者としても差し迫った課題です。実際にいま、ゆりかごに託されたお子さんが成長し「お母さんがどんな人なのか知りたい」という問い合わせが病院に来ているのです。

 ゆりかごに預け入れに来た女…

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