智弁和歌山前監督 高嶋仁の目
(11日、第107回全国高校野球選手権和歌山大会1回戦)
今夏も甲子園を目指す大会が始まりました。開幕試合は和歌山北と和歌山工の対戦。和歌山工の左腕・山田竜也投手(3年)は、大会屈指の好投手と評判も高く、今春の選抜大会準優勝の智弁和歌山に対抗できる投手になるのではないかと注目していました。
序盤は和歌山北打線をしっかりと抑えていましたが、中盤からは荒れ気味でボールが高めに浮き、痛打される場面もありました。この試合、13個の三振を奪っていますが、安打も9本打たれています。制球力が持ち味で打たせて取るタイプの投手なので三振を狙おうとはせず、低めにボールを集めれば、そうそう打たれることはないでしょう。
山田投手を始め、今大会は好投手が多い印象です。耐久や紀央館、日高などに期待の投手がおり、桐蔭の投手3人も力があります。智弁和歌山はエースの渡辺颯人投手(3年)が安定していて、宮口龍斗投手(3年)も150キロ台の速球を持っています。この2人のほかにも試合を任せられる投手がいるのも強みです。
今年も猛暑の中の大会になりそうです。各チームもどれだけ、投手の負担を減らしながら勝ち進めるかがカギになりそうです。私が監督時代、選手に「まず、5点を取れ」とはっぱをかけていました。5点取ればコールド勝ちも見えてきます。コールドなどを交えながら勝ち進めることができたら、投手にも無理をさせずにすみます。
昨年に続き、今大会も開会式の日は試合を設定せず、翌日に開幕戦がありました。開会式直後の試合はなかなかたいへんですが、翌日だと両チームとも普段通りの力を発揮できます。全国的に増えているようですが、よい取り組みだと思います。