膨張を続ける東京で、人知れず厳しい状況に置かれている人たちがいます。総選挙で「未来」や「希望」が語られるなか、そこからこぼれ落ちる現場を知る人たちに、課題や政治に欠けているものを聞きます。
思いがけず妊娠し、適切なケアを受けられずに孤立する女性が後を絶ちません。そうした人たちの相談に乗る「にんしんSOS東京」を運営する認定NPO法人「ピッコラーレ」代表の中島かおりさん（53）に、妊娠をめぐる現状と課題について聞きました。
妊娠で左右される女性の人生
妊娠中に誰にもつながらないまま、たった1人で、病院以外の場所で出産した結果、赤ちゃんが亡くなり、母は犯罪者となる。そんな悲しい出産をなくしたい、虐待死を防ぎたいと、2015年から活動を始めました。これまで、のべ1万2千人を超える方の相談が寄せられました。時には直接支援につなげるため、実際にお会いすることもあります。
妊娠は女性の人生を大きく左右します。
例えば、未婚で妊娠し、結婚せずに産む場合。雇用保険に入っていなければ、出産で休業中は収入の補償がありません。そもそも非正規雇用であれば、産後同じ仕事に戻れるとも限りません。
赤ちゃんができると単身者用…
