寺下聡さん(左)と雅子さん=2024年12月21日、和歌山市七番丁、西江拓矢撮影

 妻が、突然、治療をしなければ余命2カ月の卵巣がんと診断された。妻は当時40代。夫はがん専門医。その日から一変した世界で、夫婦でがんと闘った日々をつづった本が出版された。がんを知り、がんへの向き合い方を知るための一冊だ。

 タイトルは「がん専門医 妻の進行がんと向き合う 卵巣がんになった妻と医師の夫の1460日」(明日香出版社、税込み1650円)。著者は、日本赤十字社和歌山医療センター(和歌山市)の医師、寺下聡さん(47)と妻の雅子さん(51)。聡さんは、呼吸器内科の医師で、1千人以上の肺がん患者の診療経験がある。夫婦の闘いを追った実況中継編、雅子さんのミニコラム、最新のがん治療などについて医師の立場からQ&A形式で説明した解説編で成り立っている。

 始まりは、2020年5月10日だった。新型コロナウイルスの感染が拡大し、世の中が戦々恐々としていたころ。雅子さんから、おなかが張っているのでみてほしいと言われ、聡さんが触診したところ、しこりを感じた。

 雅子さんは、夫の勤める病院を受診。腫瘍(しゅよう)マーカーの数値が高く、専門的な検査の結果、卵巣がんで、しかも「ステージⅢC」の進行がんであることが判明した。

患者の気持ちはジェットコースターのよう

 治療をしなければ、余命2カ…

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