自らの姿を隠し、敵の刀を落とす秘法とは――。忍者研究の第一人者で、2023年に放送されたNHK大河ドラマ「どうする家康」の「忍者考証」を務めた三重大学人文学部の山田雄司教授(58)=日本古代・中世信仰史=が、島根県内に残る江戸時代の忍術書を確認した。「地方で忍術書が残っているのは珍しい」と話している。

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記事の後段では、「忍術秘書」の文面の画像も見られます。

 山田教授らによると、旧松江藩士の雨森家が残した「雨森文書(あめのもりもんじょ)」(松江市の松江歴史館蔵)に、出雲国に伝来したという計46ページの「忍術秘書」が含まれていた。

 山田教授は松江市から依頼を受けて、2018~20年度に3年間にわたり松江藩の忍者について調査をしたとき、この忍術秘書の存在を初めて知ったという。

 同書によると、「姿を敵に見られない方法」では、初産の子供のへその緒をどこかから盗んでくる。それに向かって100日間にわたって「臨兵闘者皆陣列在前(りんぴょうとうしゃかいじんれつざいぜん)」と千回ずつ唱え、へその緒を陰干しにして持つ。さらに髪を頭上で束ねたものにマムシのキバを挿せば、敵に見つかることはない、としている。

 「敵の目をかすませて、自分の身を隠す方法」なるものも記されている。

 毎日天に向かって「リン天サンゲンセウ カクリンセイカトクノウ セウゲソウハク」と指で書く。もしも敵に会ったら、その呪文を口で唱える。そうすれば、敵の目にかすみがかかるとされる。

文書を残したのは何者?

 こうした文書を残していた雨…

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