日本の子どもは身体的には健康だが、精神的幸福度は低い――。そんな調査結果をユニセフ(国連児童基金)が出した。日本の子ども政策は世界的に見てどのような位置にあるのか。日本人で初めて国連子どもの権利委員会の委員を務めた弁護士の大谷美紀子さんに聞いた。
1989年に子どもを権利の主体と定めた子どもの権利条約が採択され、日本は94年に批准しました。様々な課題を抱えつつも、2022年のこども基本法成立などで大きく状況が変わりつつあります。しかし世界では子どもの権利へのバックラッシュ(反動)が起き、国連も厳しい状況にあるようです。
◇
――国連子どもの権利委とはどのような組織なのですか。
子どもの権利条約の締約国が条約で定められたことを実施しているか審査する機関です。各国から推薦され、投票で選ばれた18人の専門家で構成されます。私は17年に委員になり、21~23年は委員長を務めました。
スイス・ジュネーブに年3回1カ月ずつ、委員が集まります。会期以外でも世界中で起きた子ども関連の問題の報告が入ったり、様々な国際会議への出席を求められたり。国連機関、政府、NGOなど、いろんなところから様々な要請が来ます。
勧告、実行してもらうための「対話」が大事
――各国の審査をする、とは?
締約国は数年に一度、委員会…