【連載】インビジブル・マイノリティー フランスのリアル 第2回
【連載】インビジブル・マイノリティー フランスのリアル 第2回
移民の国フランスで、アジア系市民が差別に声を上げ始めています。「インビジブル・マイノリティー」(見えない少数派)と呼ばれてきた人たちはなぜ立ち上がったのか。フランスで見過ごされてきたアジア系差別の問題から、日本にもつながる多様性のあり方について考えます。
フランスでアジア系移民は長らく、「真面目」や「騒ぎを起こさない」などのステレオタイプと共に、存在を認識されない「インビジブル・マイノリティー」と呼ばれてきました。ここ数年でアジア系移民が声を上げ始めた背景には何があるのか。人種差別問題を研究するフランスの歴史学者パスカル・ブランシャールさんに聞きました。
- 【連載初回】アジア系はなぜ差別に声を上げ始めたのか フランスの見えない少数
――歴史的にフランスでのアジア系移民への差別はどんな状況が続いてきたのでしょうか。
大きな流れでは三つの特徴的な期間があります。最初の期間は第1次世界大戦の前後で、差別の対象となったアジア人の多くは、中国人の労働者やフランスが19世紀から植民地として支配していたインドシナ地域の出身者でした。
1904年に始まった日露戦争を通じてフランスで訓練を受けた日本の将校の存在も知られており、当時のアジア人に対する差別は人種的な偏見よりも、いずれ欧州を侵略するかもしれないという懸念が要因でした。
2番目のアジア系移民の大き…