カンボジアの戦争孤児らを支援した故・栗本英世さんの生涯を追うドキュメンタリー映画「OKAは手ぶらでやってくる」(90分)が24日から、大阪市淀川区のシアターセブンで上映される。「ひとりNGO」と呼ばれた活動や人柄を生前の貴重な映像で紹介している。
「オカ」はカンボジア語でチャンスを意味する。いつも何も持たずに1人で集落に来た栗本さんの愛称になった。
栗本さんは滋賀県近江八幡市出身。貧しい家庭に育ち、牧師をめざした時期もあった。
1980年代後半から東南アジアで人身売買の被害に遭う子どもを救おうと活動し、1990年代半ばにカンボジアで、住民とともに内戦時に埋められた地雷の撤去を始めた。次第に現地の子どもたちの自立支援にかじを切り、草ぶきの「寺子屋」を建てて識字教育を進めた。
2000年ごろに取り組まれた子どもたちが壁画を描くプロジェクトなどをきっかけに栗本さんと知り合ったのが、今回の映画を撮った牧田敬祐監督。人物像に魅力を感じ、いずれ映画にしたいと撮影を重ねていった。
栗本さんは22年に71歳で亡くなった。現地では寺子屋が公立学校に生まれ変わった。支援を受けた孤児が大人になって次世代の子どもたちを支えており、映画には、赤ちゃんの時に瀕死(ひんし)だったところを栗本さんに救われ、今は母親となった女性も登場する。
映画は「東京ドキュメンタリー映画祭2024」で長編部門のグランプリに選ばれた。牧田監督は「目に見えない力に承認されることを求める人が多い時代だからこそ、自分の思いに正直に突き進んだ栗本さんという人物を知ってほしい」と話す。
上映時間は映画の公式サイト(https://www.haising.jp/movie-1/)で案内される。
シアターセブンのほか、京都市上京区三芳町の出町座(6月6~19日)、兵庫県豊岡市元町の豊岡劇場(6月13~25日)、神戸市長田区腕塚町5丁目の神戸映画資料館(6月13~17日)などでも上映される。