若者らに広がる市販薬などの過剰摂取(オーバードーズ、OD)。社会的孤立や生きづらさを、薬を使って紛らわす目的も多いとされる。そんな心の苦痛を受け止めようと、神戸市は専用電話「神戸オーバードーズ相談ダイヤル」を開設し、公認心理師らが本人や家族の声を聞いている。

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 市精神保健福祉センターが8月20日、専用電話(078・371・1966)を始めた。平日の午前10時半~午後4時半(正午からの1時間は除く)に受けつけている。全国的にも数少ない取り組みという。

 寄せられた相談内容によって、同センターで実施する依存症専門医や思春期専門医の相談を案内することもあるという。

 同センターによると、ODは10代を中心に目立っており、主に市販薬が使われている。乱用の恐れのある薬がドラッグストアやインターネットを通じて手に入りやすくなり、SNSで情報を集めやすくなった影響も考えられるという。

 国立精神・神経医療研究センターの調査では、全国の精神科医療機関にかかった10代の薬物依存症患者の「主たる薬物」に市販薬が占める割合は、2014年の0%から22年には65%に増えている。

 神戸市でも、市消防局が救急搬送したODが疑われる患者は21年233人、22年250人、23年346人と増加している。センターの担当者は「背景にある心の悩みに向き合いたい」と話す。(永田豊隆)

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