大阪・関西万博の会場でロケットの打ち上げについて説明する小田翔武さん=2025年5月21日、大阪市此花区、徳永猛城撮影

◆夢洲から

 大阪・関西万博の会場で講演できることを楽しみにしていた人が一人。小型ロケットを開発する企業「AstroX(アストロエックス)」最高経営責任者の小田翔武さん(33)だ。

 東日本大震災からの復興がテーマの講演会で登壇し、「宇宙は近いところにある」と力強く語った。

 3年前に人工衛星の軌道投入をめざして起業し、福島県南相馬市に本社を置いた。市の後押しを受けながら、昨年に2度、津波が襲った土地から打ち上げ実験をした。

 ロケットを見上げた地元の人から「震災で下を向いていたが、全員が上を向く日が来るなんて」と言われたことが「胸に残っている」と語った。

 2人で立ち上げたAstroXは社員が約20人に増え、1年後にはもうロケットを宇宙へ到達させる計画を立てている。

 これまでの2度の打ち上げ実験を現場で取材した私は、ロケットを見上げる人たちの表情が「未来への期待」にあふれているのを見た。

 万博の会場では、同じ表情をしている人がたくさん。小田さんの講演を聞く人、展示されている新しい技術に触れる人。そうした多くの期待が、挑戦する人たちの前に進む力になると思えた。

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 世界中の人々が集まり、連日多彩なイベントが開かれる大阪・関西万博。会場の夢洲(ゆめしま)で取材に駆け回る記者たちが、日々のできごとや感じた悲喜こもごもを伝えます。

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