「Synspective」の小型SAR衛星のイメージ©Synspective Inc.

 日本の宇宙ビジネスの競争力を高めようと、国が民間企業や大学などに10年で1兆円規模を投じる「宇宙戦略基金」の第2期(3千億円分)の公募が5月から始まる。第1期(同)はテーマ設定などについて課題も指摘されており、改善が期待される。

 基金は、政府が民間の技術開発を支援するために宇宙航空研究開発機構(JAXA)に設けた。テーマは政府(内閣府、総務省、文部科学省、経済産業省)が決め、JAXAが公募し、JAXAが選んだ専門家が審査する。

 第2期は「有人宇宙輸送システムにおける安全確保の基盤技術」「地球環境衛星データ利用の加速に向けた先端技術」「月面インフラ構築に資する要素技術」など24テーマが公表されている。

 第1期の22テーマ・29項目の公募は昨年7月から始まり、再公募となった1項目を除いて今年2月に結果が出そろった。247機関から応募があり、115機関が選ばれた。

 SAR衛星の開発・解析などを手がけるスタートアップ企業「Synspective(シンスペクティブ)」は「商業衛星コンステレーション構築加速化」の項目で選ばれた。

 小畑俊裕・技術戦略室長は「年12機の量産体制をつくるという当社がめざす部分のど真ん中の支援で、ありがたい。採択されなければ、目標よりも少なくとも1~2年は遅れていただろう」と語る。

 この基金は従来の宇宙予算に比べ、スタートアップや他分野の企業への支援を重視している。基本方針では「スタートアップをはじめとする民間企業などが大胆に技術開発に取り組めるよう」と明記している。

 ただ、第1期はスタートアップ(設立15年以内の中小企業など)の応募は全体の25%、採択は約23%にとどまった。民間だけで見ると、応募の60%、採択の70%は宇宙分野で実績のある企業(10年以上宇宙製品・サービスを手がける企業など)だった。

宇宙戦略基金の応募・採択機関の内訳

 JAXAによると、審査でス…

共有
Exit mobile version