自民党派閥の裏金事件で有罪判決を受けた安倍派の会計責任者(当時)の参考人招致について、30日の衆院予算委員会で議決することが決まった。全会一致が原則だが、与野党で折り合わず、多数決に諮ることになった。予算委で参考人招致を議決するのは、1974年以来51年ぶり。
自民以外の賛成で参考人招致が決まる見通しだ。しかし、参考人招致は任意であり、会計責任者(当時)は応じない意向とみられ、招致は実現しない可能性が高い。
野党側は、2025年度当初予算案の審議入りの条件として議決を要求してきたが、与党側は一貫して反対。29日の予算委理事懇談会でも折り合わず、安住氏が議決を決めた。
衆院によると、予算委で参考人招致を議決したのは74年に田中角栄政権下で、物価高をめぐり、石油関係企業の社長らの招致を決めた時以来となる。
これまで予算委員長ポストは長く与党が握り、参考人招致は原則、全会一致で決めてきた。だが与党が少数に転じ、30年ぶりに野党が委員長ポストを握ったことで、今回の議決につながった。
予算委では野党が過半数を占めるため、30日に招致が決まる見通し。与党の公明党も28日時点では、招致に賛成する方針を示している。
野党が参考人招致を求めてきた背景には、安倍派の政治資金パーティー券収入の還流をめぐり、会計責任者と安倍派議員との間で証言が食い違っていることがある。そのため野党は、参考人招致で「実態解明が必要だ」と主張してきた。
ただ、参考人招致の出席は任意。自民が昨年12月に本人に意向を確認した際、「(出席を)差し控える」との返答だったとされ、応じない可能性が高い。
自民は、関係議員の処分など「やるべきことは全てやってきた」(坂本哲志国会対策委員長)と強調するが、公明も含めた各党が招致に賛成すれば、自民としての対応が問われることになる。