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真新しい高松駅キャンパスのホールで入学式に臨んだ新入生と保護者ら=2025年4月2日午前10時14分、高松市浜ノ町、渡辺杏果撮影
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 今年で創立130年を迎える私立大、徳島文理大学は今春、自然豊かな香川県さぬき市にあったキャンパスの全機能をJR高松駅横のビルに移転した。「都心回帰」の背景には、定員割れが続く地方の私大の苦境があるという。大学を運営する村崎学園の4代目理事長、村崎文彦さん(43)に話を聞いた。

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 ――「大学のまち」として40年の歴史を刻んださぬき市から高松市中心部へ移転した理由は。

 大学キャンパスの移転は、容易にできるものでありません。今回の決定は35年間理事長を務めた父(故・正人氏)の苦渋の決断でした。背景には、地方の私大が置かれた厳しい状況があります。一方で、財務状況の健全化に努めた結果、大規模な移転が実現したとも言えます。

 大学運営において永続性は非常に重要です。卒業したら終わりではなく、学び直しのために戻ってくる学生もいる。持続的な運営のためには変化が必要で、移転はこれからも本学が香川にあり続けるという意思の表れです。

 これまでお世話になった地域、特に不動産や飲食業の方々への影響も考慮して、移転発表の時期はかなり前倒ししました。大学独自で、さぬき市から高松駅キャンパスへ通う在学生に1人当たり年間12万円程度の交通費補助する支援策も実施しています。

「都心回帰」で入学者1.6倍増

 ――徳島文理大の入学定員充足率は69%(現在)。定員割れが続くことも移転の理由ですか。

 国の就学支援制度対象大学と…

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