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実質賃金が3カ月ぶりにマイナスに

 物価の上昇分を差し引いた働き手1人あたりの8月の「実質賃金」は、前年同月から0.6%減り、3カ月ぶりにマイナスに転じた。実質賃金は6月に27カ月ぶりにプラスとなったが、プラス基調は定着していない現状が明らかになった。

 厚生労働省が8日、8月分の毎月勤労統計調査(速報)として発表した。労働者が実際に受け取った「名目賃金」にあたる現金給与総額は3.0%増の29万6588円で、上昇率は6月(4.5%増)や7月(3.4%増)より低かった。

基本給は高い伸び

 現金給与総額のうち、基本給などの所定内給与は6月(2.2%増)、7月(2.4%増)を上回る3.0%増の26万4038円。1992年10月以来、31年10カ月ぶりの高い伸びで、歴史的な高水準となった今春闘の反映が進んだ。

 一方、ボーナスを含む「特別に支払われた給与」は2.7%増の1万2951円にとどまった。6月(7.8%増)と7月(6.6%増)から大幅に下がり、全体の上昇率を押し下げた。

 さらに、実質賃金の計算に使う8月の消費者物価指数(持ち家の帰属家賃を除く総合)は6、7月をやや上回る3.5%の上昇となり、物価上昇分を差し引いた実質賃金は0.6%のマイナスとなった。

最低賃金引き上げ、物価高対策がポイントに

 「これはもう明らかに良い知…

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