大島南端にある鞍埼灯台=宮崎県日南市、文化庁提供

 宮崎県日南市の大島南端にある鞍埼(くらさき)灯台が国の重要文化財になる見通しとなった。文化審議会(島谷弘幸会長)が18日、文部科学大臣に重要文化財に指定するよう答申した。県教育委員会文化財課によると、近代海上交通史上、価値が高いことなどが評価された。

 鞍埼灯台は日向灘南方に位置する大島の南端の海抜約84メートルの断崖上にある洋式灯台。明治期に横浜―香港航路の安全確保のため設けられた主要航路標識だ。

 灯台業務の中核を担った藤倉見達が設計した。高さは14.1メートル、無筋コンクリートでつくられており、1884(明治17)年8月15日に初点灯した。今年は初点灯から140年になる。

 県内の重要文化財は25件になり、灯台は初めて。同課の担当者は「日向灘南方を行き交う船舶の安全を明治前期から守り続けてきた九州南部に現存する最古の洋式灯台として、近代海上交通史上価値が高いことや、日本人技術者が主導して建設した我が国最初期のコンクリート造構造物としても重要と評価された」と説明した。

 日南市教委によると、重要文化財の指定は初めてといい、生涯学習課の担当者は「航路の安全も当然だが、大島に貴重な灯台があることに親しみをもってもらい、地域と協力して活用できたら」と話していた。(奥正光)

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