人手不足が深刻化する中、宿やホテルで業務の内容や勤務時間を工夫して人材を確保する動きが広がっています。コロナ禍で経営体力をそがれた宿泊業は、高い時給で呼び込むことが簡単ではありません。多様化する働き手のニーズと重なり、成果も出始めています。(松本真弥)
神奈川県箱根町の宿「ススキの原 一の湯」で働く、名越一久さん(74)の朝は早い。午前7時40分の朝食スタートに間に合うように、午前6時ごろから食事や飲み物の準備を始める。食器を下げ、テーブルの拭き上げを終えるころには、午前11時をまわる。
名越さんは昨年、ここで働き始めた。1日5時間ほどの勤務に週4回ほど入る。「働けるうちは働きたかった。希望だった接客もでき、毎日充実している」と話す。
創業から400年近い老舗・一の湯は箱根周辺で9施設を構える。施設の運営はかつて、長時間働き、複数の業務をこなせる正社員やフルタイムのパートに頼っていた。ただ、「バリバリ働いてくれるパートさんだけでは、人手が足りなくなってきた」(大野正樹・店舗運営本部長)。
週ゼロもOK 「中抜け」対策にも
そこで、取り組んだのが「プ…