共同記者会見に臨む石破茂首相。左は共同議長を務めたアンゴラのロウレンソ大統領=2025年8月22日午前11時39分、横浜市、菊池康全撮影

 石破茂首相は、20~22日に開かれた第9回アフリカ開発会議(TICAD9)で、様々な支援策を打ち出した。従来の秩序が揺らぎ先行きが見通せない国際社会で、グローバルサウス(新興国・途上国)との関係強化は日本にとって重要な課題になる。

 「日本の協力のあり方は、ともに笑い、泣き、汗を流すことだ」。22日の共同記者会見で、日本の存在感を問われた首相はこう答えた。

 日本政府は今回、官民投資の総額目標の発表を見送った。外務省関係者は「金額ありきではなく、質の向上をめざし、ともに課題に取り組む」と語るが、背景には日本の対アフリカ投資が伸び悩んでいることや、国内世論がODA(政府の開発援助)に消極的と見る事情がある。

 若年人口の比率が高く資源豊かなアフリカは、今後、存在感を増すと見込まれ、日本は重視してきた。米国が内向き志向を強めたことでできた支援の「空白」に乗じて中国が影響を増すなか、日本は民主主義や法の支配を重んじる側にアフリカをつなぎとめる役割を果たしたい考えだ。

 中国の対アフリカ融資が「債務のわな」と批判されることを念頭に、首相は「債務の透明性の向上に向け、日本は主導的役割を果たす」と述べた。医療系の新興企業や医薬品の流通を支援する施策を設けるなど、アフリカのニーズに応える策も用意した。

 日本政府が打ち出した施策に、出席したアフリカ諸国の首脳らからは歓迎の声があがった。

 南アフリカのラマポーザ大統…

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