土居志央梨さん=高木忠智撮影

 NHK連続テレビ小説「虎に翼」で、主人公の同級生・山田よねを演じる土居志央梨さん。怒りをエネルギーに変えて逆境を進む役柄ですが、演じる本人の素顔は自然体そのもの。土居さんを形作った「みっつ」のなかに、よねにつながるヒントがありました。

土居志央梨さんの「みっつ」

①引っ越し ②クラシックバレエ ③映画「道」

 《幼少期、父の仕事の関係で10回以上の引っ越しをした》

 小さいころの自分の方が、今の自分よりもしっかりしていたように思います。福岡で生まれて、すぐに大阪に行って、幼稚園のときは福岡に戻ったり、大分に移ったり。早く大人になって3歳下の弟を守らなきゃと、気を張っていました。

 小学5年生まで、ほぼ1年ごとに転校しました。その経験から、転校生は最初の自己紹介がすべてだと感じていました。初日でつかめなかったら、もうクラスになじめないんです。恥ずかしくて、しおらしくしていると、輪に入っていけませんでした。

 次の学校では、元気よく「土居志央梨です! バレエをしていて、開脚できます!」と、Y字バランスをして見せました。すると、わーってみんなが寄ってきた。子どもながらに、「子どもって単純なんだな」と。今は全くそんなことはないのですが、当時は怖いくらい冷静に、俯瞰(ふかん)した目で人間を見ていました。

 よね役のお話をいただいたとき、チーフ演出の方が私のことを、「一歩引いて見ている感じが、よねだと思った」とおっしゃっていました。そのときは「え、そうかな?」と感じたのですが、そういえば小さいころの私とリンクしているかもしれません。

 《母の勧めで3歳から始めたクラシックバレエは、住む場所が変わっても習い続け、プロの世界を目指した》

 小学校高学年から高校までは…

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