奈良市の奈良教育大付属小で昨年、当時小学4年の男子児童がいじめを理由に転校していたことがわかった。奈良教育大が9日、記者会見を開き、いじめ防止対策推進法に基づく重大事態にあたるとして児童と保護者に「深く傷つけたことをおわびする」と謝罪した。
弁護士や大学副学長らでつくる調査委員会は報告書で、男子児童が3年から4年の1学期にかけてクラスの児童から、「死ね」「消えろ」などの悪口を言われた▽ランドセルや筆箱などの所有物が壊されたり、ゴミ箱に捨てられたりした▽虫取りやサッカー、鬼ごっこなどで仲間外れにされた▽女子トイレに無理やり入れられた、など10項目をいじめとして認定した。
男子児童が昨年夏に転校を決め、同小校長が転校先の校長との電話のやりとりでいじめを把握し、大学側に報告した。
調査委は、学校側がこのいじめを「児童間のトラブル」ととらえて組織的な対応を取るのに約1年を要したことや、校内のいじめ防止の対策が具体性を欠くことなどを指摘。保護者から連日の欠席はいじめが理由であると伝えられていたことも踏まえ、転校に至る前に対処を検討するべきだったと結論づけた。
会見では、男子児童の父親の「所見」も発表された。「息子が大事にしていたお守りをバラバラに解体してトイレに捨てた」「息子について『クラスで要らないと思うやつ』とクラス全員に挙手させ、居合わせた担任が真剣に関与しなかった」という二つの行為を「息子を絶望させた最も陰湿な出来事」とした。
その上で、報告書の概要版に、二つの事実の記載がなかったことを「到底受け入れられない。いじめの全容を薄めて見せたいという意図すら感じられてならず、残念」と記した。
宮下俊也学長は所見について「重く受け止める」と述べ、「既に調査委員会が解散したため、追記ができなかった」と釈明した。担任教員は単年度採用で、3月末に任期満了で退職しているという。
また、宮下学長は、学校の対…