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 少子化に加え光熱費や物価の高騰と、大学を取り巻く環境は厳しさを増している。個々の大学では対応が難しい問題が多く、国立大学協会(国大協)や日本私立大学協会(私大協)などの大学団体が、存在感を発揮したいところだ。所属する団体の評価や、国公私の枠を超えた団体の必要性について、朝日新聞と河合塾の共同調査「ひらく 日本の大学」で全国の学長に尋ねた。

 まずは、所属する団体の主な活動についての評価を聞いた。「大いに評価」との回答が52%と最も多かったのは「政策などの情報提供」。「少し評価する」と合計すると92%にのぼった。

 「大いに評価」は国大協が76%、大規模私立大の多くが所属する日本私立大学連盟(私大連)が72%と多かった。公立大学協会(公大協)は55%、地方大や小規模大が多い私大協は43%だった。

 他に「政府に対する予算や政策の要望」(38%)、「教職員の研修」(37%)も、「大いに評価」が多かった。

「大規模大の視線で運営」「政府にはっきり要望を」

 国大協は多くの項目で他団体より評価が高かったものの、複数の単科大が「大規模大学の視線での運営になりがち」といった不満を寄せた。同様に評価が高かった私大連に所属する東京都内の大学は「政府に対する要望を、もっとはっきりと表明してほしい」と求めた。

 いずれの項目も評価が低めだった私大協に所属する中国地方の大学は「私学への財政的な支援の増額に向けた取り組みが不十分だ」とコメント。公大協は項目によって評価にばらつきがあった。公立大は設置する自治体ごとに考えが異なり、意見をまとめて行動しにくいとの回答が目立ち、「型どおりの情報提供や通達の説明で役に立たないことが多い」といった指摘もあった。

 どの団体も評価が低かったのは「財政的な支援」(7%)や「大学経営へのアドバイス」(12%)。「災害など緊急時の支援」も13%と少なかったが、国大協は28%だった。

 記事の後半では、大学界一丸となって政府や社会にアピールするための「全大学連合」の設置について、学長たちに質問した結果を紹介します。

 少子化や光熱費・物価の高騰に、教育・研究に重要な電子ジャーナルの高騰――。近年の環境変化は、国公私に関係なく多くの大学を苦しめている。だが、各団体が協力して文部科学省などに要望したり、声明を出したりすることはめったにない。

 ただ、2020年5月には一…

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