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わじまティーンラボに立つ小浦詩さん=石川県輪島市
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 1月1日夕。

 小児科医の小浦(こうら)詩(うた)さん(42)は、12歳、9歳、6歳の子ども3人を連れて、石川県輪島市から大分へ帰省していた。

 おせち料理を食べてテレビを見ていたところに、能登半島地震のニュース速報が飛び込んできた。

 「最大震度7」「大津波警報」――。

 昨年に輪島市で震度5弱の地震が起きていた。「本当に大きいのが来たんだ」

 詩さんは2022年12月に夫婦で輪島に開業したばかりの「ごちゃまるクリニック」で、副院長を務める。すぐに、夫で院長の友行さん(44)に連絡した。友行さんは輪島の自宅で、自身の祖母、両親とお正月を過ごしていた。

 祖母が家具に挟まれたが、なんとか引きずり出したところだったという。

 「死ぬかもしれんけど、逃げる」

 ひとまず家族全員が無事なことは確認できた。

 その後、ニュースは炎に包まれる輪島朝市の様子を伝え始めた。自宅は朝市通りにあり、火災の発生場所からほど近い。クリニックもそこから数百メートルしか離れていない。

 友行さんは、両親らを避難させ、往診バッグを携えて各地の避難所で負傷者の応急処置を始めるという。

 詩さんはいてもたってもいられない気持ちだった。

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