元日の能登半島地震で傷ついた石川県の奥能登地域(輪島、珠洲、能登、穴水の4市町)を、大雨が襲った。今年度は少子化に加えて転出が増え、高校生も減っている。チームの人数確保もままならない部活動の現場を追った。
9月21日の記録的な大雨で、住宅地にまで土砂や流木が押し寄せた輪島市。斜面が崩れて土砂が用水路をふさぐ一帯で9月末、県立輪島高校(輪島市)の野球部員ら17人がボランティアに励んでいた。スコップで土砂をすくい、バケツリレーで運び出していく。
志田大武さん(1年)は「にぎやかな町に戻ってほしい」と汗をぬぐう。地震で被災し、大雨では自宅裏の土地がえぐられたという。それでも「友だちや先輩がいる輪島が好きで離れたいと思わない」と話す。
ただ、立て続けの災害の打撃は大きい。水口遥斗さん(1年)は自宅玄関に丸太が流れ込み、ふさがれたという。生活が落ち着かない。「どんな形でもいいから野球を続けたい」と地元を離れることも考えている。
冨水諒一監督(42)は「不安を抱える部員もいると思う」と話す。地震で練習グラウンドは一部が崩落。豪雨まで、日本航空高校石川(輪島市)のグラウンドを借りたり、週末に遠征したりしていた。
冨水監督からみて、選手主導の魅力あるチーム。だが、豪雨で「中学生にとって、奥能登の学校を選ばなくてもいい理由がまた増えてしまった」と話す。
元日の地震は、今年度の高校進学に影響したとみられる。
県教委によると、奥能登地域の県立5高校の2024年度の入学者数は257人と、前年度の336人の8割以下に落ち込んだ。中学校の卒業者数の減少幅の2・3倍だ。
入学者数は輪島高で90人か…